学会の魅力と求心力

           学会長 福喜多 博義(国立がんセンター中央病院)

 この度、小堺加智夫前会長の後任として、学会長をお引き受けすることになりました。何分、浅学非才の身でありながら学会長を引き受けた自戒の念と、それがこれからの人生の再出発と思い、学会運営に身を投じて参りたいと存じます。
いま学会が取組むべき事業は幾つもあります。その中で、学会組織として最も重要となるのが会員数です。会の根幹を成すのは会員であり、その会員減少という現象は、運営上危機的状況と言っても過言ではありません。ではいったい何が原因しているのでしょうか。学会、研究会の多さ、それに加えてメーカ独自で開催する研究会などがあり、多いときには一日3件の研究会が重なることも良くあります。これは、大学と受験生の関係と同じように、学会は会員を選別するのではなく、会員は学会を選ぶ時代になっています。そのため、如何に魅力ある学会作りをするかがわれわれ役員の課題だと言えます。
学会の魅力とは何でしょうか?。会則第3条に本学会の目的が記されています。「本会は核医学技術を研究し、もって医療の発展に寄与するとともに会員の資質の向上ならびに相互の親睦をはかることを目的とする。」と謳われています。
「本会は核医学技術を研究し」については、学術団体であるからには、会員から広く研究論文を募集し会誌に投稿して頂くことが使命ですが、会員にとっては投稿論文が学術的に広く認められる会誌に投稿することが道理です。所謂インパクトファクターの高い学会誌を目指すことになります。最近は、学位を取得する会員が多くなっていますが、是非本誌に掲載した論文が学位論文となる時代が来るように努力しなければなりません。
「会員の資質の向上」については、10年ほど前から本学会では核医学技術者認定制度を立ち上げ、現在150名ほどの会員が認定をうけています。この認定制度が自己研鑽には役立つと思われますが、社会的な評価が得られなければ、自己満足に終わってしまいます。2年前FDG-PET検査が保険収載された折、施設基準が設けられました。その中の一項目にポジトロン断層撮影に係る製剤の取扱い及び撮影を行う専任の放射線技師がいることが義務付けられました。これを機会に、本学会の認定制度を核医学会、放射線技術学会、放射線技師会など関連学会と協力して共同で認定を行い、社会的に認知された制度にステップアップする必要があります。
「相互の親睦をはかる」については、会員の親睦をはかるのは言うまでもありませんが、他学会との親睦もはかるひつようがあります。最初に、核医学会総会との共同開催があります。現在会員の多くは核医学会員でもあります。そのような会員とっては、総会参加のための経費負担を強いており、これは協賛メーカも同様であります。核医学会との共同開催は近い将来に向け取組む必要があります。次にSNMTとどのような連携を図っていくかが大きなテーマとなるでしょう。ここ数年はSNMTの会長を本学会総会にお招きしていますが、一方通行的な交流であり、相互の親睦がなされていない反省があります。また韓国や中国など近隣諸国を始めとした広く諸外国との交流も重要であると考えます。
 これらの課題に取り組み解決することにより学会の求心力が強まり、それが魅力ある学会となるのではないでしょうか。これは、しいては会員の増加につながるのとだと考えています。是非、会員各位のご協力とご支援をお願いいたします。