学会長就任ご挨拶

小堺 加智夫

 予期せぬ高坂唯子先生の学会長辞任を受けて,はからずも指名されました関東地方会所属の小堺加智夫と申します。偉大なご両名,前々任者の金尾啓右先生,前任者の高坂唯子先生は,核医学技術生みの親として神のような存在で有りますので開き直っておりますが,役委員・事務局員を始め全会員諸兄姉のご協力を頂きながら精一杯頑張って参ります。勿論,これからの運営も両先生からのご指導を仰ぐ場面が多々あろうかと思われますので,今後も宜しくお願い申し上げます。

 幸い新世紀に向けて「2000年宣言」が掲げられておりますので,それらを目標に運営して行きたいと思っております。しかしながら,四半世紀を経過しようとしている本学会は,インビボ,インビトロの二本柱体制に変化が見られ,インビトロ施設の縮小から会員の減少がここ数年来続いておりますが,その分より多くのインビボ施設からの新入会員を迎えて柔軟で活力ある学会運営が待たれるところです。それには一人一人の会員が自信を持って,魅力ある学会として周囲の核医学従事者に入会の促進が出来得る体制が必要であります。

 今回の選出理事は関西,関東に偏りましたが,推薦理事以外は経験あるベテラン揃いです。しかし,学会運営も長い間には歪みや疲労の可能性も十分考えられます。新体制には積極的で活力ある学会運営が期待される中で,なるべく事務局関係以外の役委員に新しい役職をお願いし,斬新な考え方から問題を提起して頂き,その解決策と推進に全役委員と事務局員が知恵を出しそして行動に移して頂きたくお願い申し上げます。

 一方で,厳しい医療環境の中で今年度は診療報酬の改定が行われ,中でも放射線関係の検査点数削減幅が大きく(特に MRI),更に DRG/PPS の導入等を絡めた問題も直ぐそこに来ております。また,今回は施設基準が大きくクローズアップされ,これからは技術者専従の存在が診療報酬に影響を及ぼすと言う前触れかと思われます。核医学では PET 検査において専任技師の体制が導入されましたが,将来,更に多くの領域で採用の可能性が示唆されましたので,我が学会が認定しております核医学専門技術者を生かせる方向で,核医学会と調整を図りながら関連諸団体と歩調を合わせるよう早急な準備が必要であります。

 当然,専門技術者が専従する状況下で実施される医療は,最高な技術が提供できることは勿論,危機管理(特定機能病院の義務化,一般病院で設置が進む,本会は昨年度学術大会教育プログラムで実施)も徹底して行かねばなりません。昨年,核医学会においてリスクマネージメント委員会が設置され本会から委員として加えさせて頂いておりますが,現在,「核医学診療事故防止のための指針」を作成中であります。また,昨年度本会は医療廃棄物のオムツ等 RI 汚染の管理について,全国レベルで積極的に講演を実施し,管理の方法等について指導して参りました。このような展開の中で,放射性医薬品の取り扱い等に関し,厚生労働省,日本アイソトープ協会におきましてもガイドライン等が検討され始めております。しかし,この問題は本学会がシンポジウム等で平成 6 年度に取り上げ,各方面に問題を提起して 8 年経過しましたが,核医学を愛する者として更に発展の方向で早期に解決されることが何より重要であることは当然であります。

 このように問題は山積しておりますが,会員一人一人のご意見ご指導を頂きながら前進して行きたいと思っておりますので宜しくお願い致します。