第24回総会学術大会印象記

東北大学病院   阿部 養悦 
 

 第24回日本核医学技術学会総会学術大会は2004年7月24、25日の両日、千葉市文化センターにて開催されました。今大会は初めて千葉県で開催するということで、第23回金沢大会の終了直後よりホームページを公開され、また、実行委員会企画として、放射性薬品製造工場見学や千葉市の共催を受け市民公開のPET展、市民公開講演を早々と企画され、福喜多博義大会長、酒井良介実行委員長をはじめ実行委員の皆様の意気込みが感じられました。また、第24回総合学術大会は『融合から想像へ』〜新しい核医学技術を求めて〜というこれからの核医学技術の向かうべき方向をメインテーマに掲げられました。
 一般研究発表は、87演題もの研究成果が発表され熱心に討論が行われました。今大会の特徴として、放射線管理やPETのセッションに多くの聴衆が集まりました。特にPETのセッションについては、入口に聴衆があふれ、会員の関心の高さを痛感しました。また、今大会は学生セッションが新たに設けられ、6題の研究成果が発表されました。どの演題もレベルの高い研究であり今後とも学生セッションを継続していくことが強く望まれます。一般研究発表は自身のパソコン持ち込みによる発表でした。多少のトラブルも見受けられたが、おおむね順調に進行したように感じました。
 大会長講演は「核医学と私〜21世紀に託せるもの〜」と題して、福喜多大会長の核医学技術に対する姿勢、そして今後核医学技術を担う核医学技師の進むべき道を示してくださいました。 特別講演Tは『医療改革の中での核医学と核医学技術開発』と題し米国の医療改革の状況を中心にワシントン大学の蓑島聡先生による講演が行われました。蓑島先生といえば、「Neuro Stat」、「3D-SSP」の開発者として有名ですが、医療経済にもお詳しく興味深く拝聴いたしました。
 特別講演Uは『細胞シート工学を基盤とする再生医療』と題した東京女子医科大学先端生命科学研究所所長の岡野光夫先生による、最先端の再生医療についての講演でした。講演の初めに、シャーレの中で拍動を続ける心筋細胞シートの動画を見せていただき、さらに先生の研究成果をわかりやすく講演いただき大変感銘を受けました。再生医療はまだまだ先のように思っていたましたが、現実に再生組織の移植手術が行われている実例を示していただき、再生医療の進歩の勢いを感じました。
 市民公開講座では多くの市民の方が参加され、西台クリニックの宇野公一先生がPET検査について市民の方々にもわかりやすい言葉を使って説明されていました。
 また、文化講演では『南極は人類の宝物、そして人類の未来を写すかがみ』と題し千葉大学環境リモートセンシング研究センターの西尾文彦先生に、南極大陸の重要性、オゾンホール問題等について話していただきました。
 シンポジウムは、『核医学技術のEBMを考える』というテーマで行われました。会場からの質問が少なかったが、講師の阿部俊子先生に圧倒されたと感じたのは私だけでしょうか?。このテーマは次期大会に引き継がれるので、次回は活発な討議を期待したいと思います。
 ワーキンググループ報告では、『機器メーカーは標準化のために何ができるか』というテーマでワーキンググループのメンバーと機器メーカー5社の代表者との討論会が行われた。今回の討議を通じ、機器メーカーは装置導入時には一通りの説明を行っているものの、実際には、各施設で装置を良く理解し正しく使いこなすことができていないことが浮き彫りにされたような気がしました。標準化は本会の重要な活動の柱です。会員一人一人が標準化について考えるよい機会になったのではないかと思われました。
 今大会は、盛りだくさんの企画と千葉県の会員を中心とされた実行委員の皆様の行動力によりすばらしい大会になったと感じております。福喜多大会長はじめ実行委員の皆様、ご苦労様でした。そしてありがとうございました。